2000年 アイエンガーとレッパー

ジャムの実験

24種類の試食台には人が集まり、6種類のほうが売れた。選択肢が多いと、選べなくなる。

何の話か

高級食品店に試食台を出した。ある日は24種類、別の日は6種類。

人が足を止めたのは24種類のほう(約6割)。6種類の台は4割ほど。ところが実際に買った割合は逆転する。 24種類の台で買った人は3%ほど、6種類の台では30%ほど。10倍の差が出た。

多いほうは、見るのは楽しいが、決められない。

正直に言うと、揺れている

この実験は有名になりすぎた。その後の追試をまとめると、平均的な効果はほぼゼロという報告もある。条件によって出たり出なかったりする、というのが現在の落ち着きどころだ。

効果が出やすいのは、こんなときとされる。選ぶのが難しい商品である。自分の好みがはっきりしていない。選ぶ時間が限られている。逆に、好みがはっきりしている人には、多いほうがいい。

ここに載せているのは、「多ければ良い」も「少なければ良い」も言い切れないことを含めて面白いからだ。

選んだあとに残るもの

もう1つ、こちらは比較的よく再現される話がある。選択肢が多いほど、選んだあとの満足度が下がりやすい。 「別のほうが良かったかも」が増えるからだ。

24種類から1つ選ぶと、選ばなかった23種類が全部「かもしれない」になる。 6種類なら、その重さは4分の1で済む。

選ぶのがつらいのではなく、選ばなかったものを抱えるのがつらい。

身のまわりの例

  • ラーメン屋の券売機

    ボタンが40個あって、後ろに人が並んでいる。「とりあえず一番左上」を押した経験は、たいていの人にある。

    券売機がいちばん左上に看板メニューを置くのは、これを知っているから。

  • 定食屋の「本日のおすすめ」

    メニューが多い店ほど、おすすめが1つ書いてあるだけで注文が速くなる。 選択肢を減らしているのではなく、選ばなくていい道を1本用意している。

  • 毎日同じ服

    決めることを減らすために、あえて選ばないという手。効果の大きさはともかく、決めた回数だけ疲れるのは実感として正しい。

    服で使う判断を、他に回しているだけ。

持ち帰るとしたら

選ぶ前に「これで決める」と基準を1つ決めておくと、24種類でも6種類と同じ速さで決まる。 減らすべきは選択肢ではなく、基準の数かもしれない。

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