認知バイアス・心理効果1999年 ダニングとクルーガー
下手な人ほど自分を高く見積もる。有名な話だが、ネットで出回っている「山のグラフ」は論文には無い。
論理・文法・ユーモアのテストを受けさせ、自分は何点くらいだと思うかも聞いた。
結果、成績が下から4分の1の人は、自分を「上から3分の1くらい」だと思っていた。 逆に成績が上の人は、自分を少し低く見積もった。
論文の主張はこうだ。下手な人は、自分が下手だと判定するための知識そのものを持っていない。 間違いを間違いだと気づく能力が、その技能と同じものだから。
ネットで出回る「バカの山 → 絶望の谷 → 啓蒙の坂」というグラフは、論文のどこにも無い。 あとから誰かが描いた図が広まった。
さらに、同じ形のグラフが、ランダムな数字からも出るという指摘がある。自己評価はみんな「真ん中よりちょっと上」に寄るので、実力が低い人ほど自己評価との差が大きくなるのは、統計上ある程度当然だという話だ。
効果そのものが無いとまでは言われていないが、「下手な人は自信満々」という単純な話ではない、というのがいまの落ち着きどころ。
揉めていても、使える教訓は残る。「自分がどれだけ分かっていないか」は、分かるようになってからしか分からない。
新しいことを始めて3日目に「意外と簡単だな」と思ったら、それは簡単だからではなく、難しさがまだ見えていないから。
逆も真で、上達してから急に不安になるのは、ようやく全体が見えたから。 不安が出てきたら、それは後退ではない。
初心者の「これ、簡単じゃん」
料理・楽器・プログラミング。最初の1週間の「いける」は、たいてい難所の手前で言っている。難所が見えるまでには、ある程度できるようになる必要がある。
運転がうまいと思っている人の割合
調査によっては8割以上が「自分は平均より上」と答える。全員が平均より上にはなれない。
ただしこれは「下手な人ほど」ではなく、全員が少し上に寄る話。ダニング=クルーガーが揉めている理由も、まさにここにある。
上手くなってから来る不安
半年やって「自分はまだ全然だ」と感じるのは、最初の1週間より確実に上手くなっている証拠。 見えていなかった差が見えるようになった。
持ち帰るとしたら
「山のグラフ」を根拠に人を笑っている人は、この効果のちょうど良い例になっている。 出回っている話ほど、元を確かめる価値がある。
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