認知バイアス・心理効果1990年 カーネマン・クネッチ・セイラー

保有効果

持っているものは、持つ前より高く見える。同じマグカップが、もらった瞬間に2倍の値段になる。

何の話か

学生を2組に分け、片方の組にだけ大学のマグカップを配る。そして、持っている組には「いくらなら売るか」、持っていない組には「いくらなら買うか」を聞いた。

売り手の値段の中央値は 約7ドル。買い手は 約3ドル。同じカップで、2倍以上の差が出た。

カップを配ったのは数分前。思い出も愛着も無い。 それでも「自分のもの」になった瞬間に、手放す値段が跳ね上がる。

なぜ起きるか

根っこは損失回避。同じ額でも、失う痛みは得る喜びの2倍ほど強く感じる。

持っている人は「手放す=失う」で値段を付け、持っていない人は「手に入れる=得る」で値段を付ける。同じ物を、片方は損の側から、片方は得の側から見ている。 だから値段が合わない。

これが、フリマで「なかなか売れない値付け」が起きる理由でもある。売り手にとってそれは損の値段で、買い手にとっては得の値段だから。

直し方

「いま持っていなかったら、この値段で買うか」と聞き直す。買わないなら、持ち続ける理由も薄い。

片づけで迷うものは、この1問で大半が決まる。「捨てるか」ではなく「買い直すか」で見る。

逆に売る側に回ったときは、自分の値付けは2倍ほど高く出ていると最初から割り引いておく。

身のまわりの例

  • フリマの値付け

    出品してから1ヶ月売れないものは、買った側の値段ではなく、手放す側の値段が付いている。「これは高くても仕方ない」と思う理由は、たいてい自分にしか通じない。

  • 無料お試しの解約

    試す前は「要らないかも」だったものが、1ヶ月使うと「無いと困る」に変わる。 機能は同じ。持っている状態から「失う」判断に変わっただけ。無料期間はこの効果を買っている。

  • 捨てられない服

    2年着ていない服を、いま店で見て買うか。 買わないなら、それは着ないまま持っている。「まだ着られる」は着る理由にならないが、手放す痛みを避ける理由にはなっている。

持ち帰るとしたら

「持っているから価値がある」は、たいてい逆で、「持っているから高く見えている」。 買い直すかどうか、で見直すと軽くなる。

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