認知バイアス・心理効果1993年 カーネマンら

ピーク・エンドの法則

体験の記憶は、いちばん強かった瞬間と、最後で決まる。長さはほとんど関係ない。旅行の最終日が全部を決める理由。

何の話か

有名な実験。参加者に14度の冷たい水に60秒手を入れさせる。別の回では、同じ60秒のあと、水を少しだけ温めて(15度)さらに30秒入れさせる。合計は長く、つらさの総量も多い。

そのあと「どちらをもう一度やりたいか」と聞くと、多くの人が長いほうを選んだ。

理由は、終わり方。後半の30秒が少しだけ楽だったので、「最後」の印象が良くなり、全体の記憶が上書きされた。 苦痛の合計は、記憶には反映されなかった。

記憶は合計をとらない

体験している自分と、それを覚えている自分は別人だとカーネマンは言う。体験している自分は毎秒を生きるが、覚えている自分は「山」と「終わり」の2点だけを持ち帰る。

長さはほぼ無視される。2時間の映画も4時間の映画も、記憶の中では「山と終わり」に圧縮される。 これを「持続時間の無視」と呼ぶ。

だから、悪い体験でも終わりが良ければ「まあ良かった」になり、良い体験でも終わりが悪ければ「台無し」になる。

使い方

終わりを設計する。 旅行なら最終日にいちばん楽しみなものを置く。仕事の1日なら、最後の15分を片づけとメモに使って「区切った」感じで終える。人と会うなら、別れ際の一言に気を配る。

山を1つ作る。 平均点の高い長い体験より、1つ強い瞬間のある短い体験のほうが記憶に残る。予定を詰めるより、1つに賭ける。

このサイトのゲームも、リザルトの見せ方にいちばん手をかけている。遊んだ60秒より、最後の画面が「もう1回」を決めるから。

身のまわりの例

  • 旅行の最終日

    4日間楽しくても、帰りの飛行機が遅れると「散々な旅行だった」になる。 逆に途中で雨に降られても、最後の夜が良ければ「いい旅だった」で終わる。日数は記憶に入っていない。

  • ライブのアンコール

    本編でいちばん盛り上がる曲を、最後にもう一度やる。 山と終わりを同じ曲で作る、この法則そのままの構成。

  • 店を出るときの一言

    料理が普通でも、帰るときに気持ちのいい挨拶があると「いい店だった」になる。 逆に料理が良くても、会計で待たされると印象が落ちる。最後の30秒が、2時間を代表する。

持ち帰るとしたら

今日の残り15分をどう終えるかが、今日1日の記憶を決める。 長かった一日ほど、最後の15分は安い。

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