認知バイアス・心理効果1988年 サミュエルソンとゼックハウザー
いまのままが、他のどれよりも良く見える。乗り換えたほうが安いと分かっていて、乗り換えない理由。
実験はこうだ。「おじの遺産で、まとまった金が手に入った。どう運用するか」と聞く。選択肢は、堅い債券、そこそこの株、リスクの高い株など。
片方のグループには、ただ選ばせる。もう片方には「いまはそこそこの株で運用されている」と一言添えてから選ばせる。
結果、「いまこうなっている」と言われた選択肢が、何であれ選ばれやすくなった。 中身は同じ4択。違うのは「どれが現状か」だけ。
似ているが、少し違う。デフォルト効果は「何もしないと自動でそうなる」話。現状維持バイアスは、自分で選び直せる場面でも、いまの状態を選び続ける話。
根っこは2つ。損失回避(変えて悪くなる痛みは、変えて良くなる喜びより大きく感じる)と、後悔の非対称(変えて失敗すると「余計なことをした」と悔やむが、変えずに失敗しても「仕方なかった」で済む)。
だから、乗り換えたほうが得だと数字で分かっていても、動かない。 数字の問題ではなく、痛みの見積もりの問題。
「いま何も持っていないとして、ゼロから選ぶならどれか」と聞き直す。保有効果の直し方と同じ形で、現状を「選択肢の1つ」に格下げする。
変えない決定も、決定として扱う。 「今年も同じプランでいく」と口に出して決めると、惰性ではなく判断になる。判断なら、来年また見直せる。
乗り換えの手続きが面倒なものは、面倒さそのものに値段を付ける。「この30分の手続きに、年1万円払っているか」と数えると、大半は動ける。
スマホの料金プラン
安いプランがあると知っていて、何年も同じプランのまま。手続きの30分と「変えて失敗したら」が、年数万円より重く感じられている。
いつもの店、いつもの席
新しい店を試して外れる痛みは、いつもの店が普通だった安心より大きく感じる。外れが怖いのではなく、「余計なことをした」と思うのが怖い。
「とりあえず今のまま」の会議
変える案が出ても、変えない案には説明責任が無いので通りやすい。「今のままにする」にも理由を言わせるルールにすると、初めて対等になる。
持ち帰るとしたら
「変えない」も選んでいる。 そう思えた瞬間から、それは惰性ではなく判断になる。
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